特別な診断のない運動発達の遅れのある子への相談場面の運動評価(乳児健診後) 地域のPTさんへ④
例えば、同じ現在1歳半で歩いていない赤ちゃんでも、その子の運動発達の経過をお母さんから問診するとマイルストーン(里標)の獲得にも色々なパターンがあることがわかります。姿勢観察や他動運動や触診などの評価情報も加えると比較的手早くその子の運動発達の特徴が見えてきます。
①それまでの運動発達が全体に遅かったパターン
色々な子がいますが、例えばハイハイの獲得が1歳4カ月でつかまり立ちの獲得も1歳4カ月と遅かった。そして、現在1歳半でまだ歩いていませんという子では頭部・体幹の抗重力活動やバランスの発達が遅いのかもしれないと仮説が立てられます。追加する評価の一つ目としてハイハイの時の体幹や股関節の姿勢観察があります。腰椎の前腕が強かったり、股関節の外転が強かったりすると体幹・股関節の低緊張があるかもしれないと推測できます。最後に他動運動や触診で筋緊張の状態を最終確認します。体幹部の抗重力コントロールを向上させるようなホームプログラムを提供します。
②ハイハイまでは平均的な発達で立位になってから発達が進まないパターン
ハイハイを10ヶ月位で獲得し、つかまり立ちもし始めたがその後歩行がはじまらず現在1歳6カ月になったという子では膝関節~足部にかけての部分に何らかの異常があるかもしれないと仮説をたてて確認します。確認するための評価は足部周辺の姿勢観察・他動運動・触診です。場合によっては行動面や感覚面の発達評価加えます。足底の感覚過敏や足周囲の著明な低緊張が見られる場合があります。足底の感覚過敏であれば脱感作のホームプログラムを提供します。足周囲の低緊張が強ければ支持性向上のプログラムを提供します。
まとめ
乳幼児健診後の発達相談場面では赤ちゃんが泣いてしまい実力が発揮できないことも多くあります。そこで、問診で問題点にあたりをつけてからポイントをしぼって姿勢観察と筋緊張検査など必要な神経学的検査で補うと短時間で効果的な支援ができると思います。
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