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赤ちゃんのそり返りが強いと言われた時、感じた時 お母さんへ

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 乳児健診でそり返りが強いようですねと言われることがあります。お母さん自身が抱っこしにくくてそり返りが強い子どもだなと感じることもあります。 大事な赤ちゃんのことですからとても心配になってしまうかもしれません。でも、どういう状況なのか知っておくと心配が少し減るかもしれません。 一般に赤ちゃんは生まれてから4カ月くらいまでの間は原始反射と呼ばれる運動をみせます。これは生きていくために生まれつき脳の中に記憶されている運動です。例えばおっぱいを飲むような運動も反射として記憶されています。生きていくために必要な機能です。誰でももっています。生後4ヵ月くらいからその影響は自然に小さくなってきます。おっぱいも口に入っていればいつまでも吸うのではなくなり、止めることができるようになります。 姿勢にも原始反射というのがあります。下の絵の様な緊張性反射と呼ばれるもので数種類あり、頭と重力の関係や、首の向きによって全身の力の入り方が変わるというものです。 そり返りの強い赤ちゃんはこのような緊張性姿勢反射の影響が強めの子が多いです。 でも先にいいましたように、原始反射は誰でももっていて、月齢があがると影響が少なくなってくるということを思い出して下さい。それが長く続いたり、とても強い状態であれば心配かもしれませんが、心配かどうかの境目の判断はなかなかわかりにくいのです。乳児健診などで小児科の先生や保健師さん、理学療法士などはそり返りのでている赤ちゃんの月齢やそり返りの程度によってそれを判断しています。 そり返りが強いことは即心配な状態とは言えません。 こどもリハかわせみ

特別な診断のない運動発達の遅れのある子への相談場面 地域のPTさんへ②

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赤ちゃんの運動発達の評価 ①粗大運動 背臥位・腹臥位・座位・立位の各姿勢の発達を比較します。姿勢全般にゆっくりの子どもや、ある姿勢だけゆっくりという場合があります。月齢から遅れの程度を判断することも必要です。 ②微細運動 赤ちゃんの運動発達に影響を与える要素  その子の運動発達の特徴とその理由を考える時には行動や健康など全体の発達評価が必要になります。 ①家族状況 ②家屋状況 ③健康 ④行動 ⑤感覚 ⑥筋力 ⑦姿勢反射様運動の統合 など スクリーニングと発達支援の違い 正常・リスク・異常の判断をするのがスクリーニング、その子なりの発達を支えようとするのが発達支援です。健診場面や療育相談ではスクリーニングは医師が行い、支援をPTやOTが行うというように役割分担ができた方が役割に集中できるのでやりやすいです。もちろん医師も支援をしますしPTやOTもスクリーニングをしますが、主となる役割はあった方がお母さんに対する対応がしやすく、スクリーニングや発達支援の質を高めることができると思います。お母さんにとっても健診場面には両方の機能があった方が安心できると思います。 こどもリハかわせみ  

特別な診断のない運動発達の遅れのある子への相談場面 地域のPTさんへ①

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  地域では赤ちゃんの運動発達が心配で理学療法士との相談にくる場合があります。多くは地域の保健福祉センターの健診や発達相談などの場面です。 今回はPTにとってはどういう特徴のある相談場面なのか考えてみましょう。 ①お母さんが不安をもっている  お母さん自身が子どもの運動発達が他の子と違うのではないかと感じて相談につながっている場合とお母さんは特に不安に思っていなかったが、保健師さんやお医者さん、保育士さんなど専門家から相談することを勧められてきている場合があります。どちらにしてもお母さんは不安を抱えている状態です。 ②PTにとって子どもの運動の将来像がわかりにくい 診断がついているということはそれだけ子どもの運動発達の将来も予測しやす子どもともいえます。診断がついていない場合は相談にくる子の将来像は大きく3つのグループがあります。人数比でいけばAかBの子どもが8割から9割の印象です。 A 1次的に運動発の遅れを示しているが将来特に問題がなくなる子 B 将来は運動の発達は問題ないか軽度になり、行動面の障害の診断がつく子 C 脳性麻痺などの運動障害がある子 ③相談時間は限られている場合が多い 通常病院のリハ室などで行う理学療法の時間に比べて、発達相談は時間が短い場合が多くなります。PTとしては状態像がわかりにくいのでしっかり評価したいのですが、あまり時間をかけると横でみているお母さんの不安を強めてしまうかもしれません。 手際よく短時間で評価しながらも子どもの状態を正確に把握し、PTとの相談が子どもの発達に良い影響を与える、同時にお母さんの不安も軽減してあげられるということを目指せると一番いいと思います。次回以降は評価・指導・お母さん対応などで考えていることを書きたいと思います。 こどもリハかわせみ

脳性麻痺をもった子ども PTさんの専門性って 保育士さんへ②

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短下肢装具 車椅子 脳性麻痺をもった子どもさんが保育園に来た時に、短下肢装具や車いすなどを使うかどうか迷うかもしれません。 PTは装具や車いすなどについて、どんな目的で作られたのか、どう使うとどんな効果があるのかについてはよく知っています。 もちろん保育園にはその子以外に多くのお子さんがいますし、保育士さんの数も限られています。 保育園の現状も考え合わせて、どうすることが今その子と周りの子にとってできる最善なのか一緒に話ができると最高です。PTさんも最初から考えを押し付けてくるようなことはしないはずです。率直に話してみてください。 ちなみに短下肢装具は変形拘縮の予防改善や立位歩行の安定の目的で作られていることが多いです。でも、一人一人変形の強さや普段の過ごし方が違うので、使い方はそれぞれで色々な方法が考えられます。 例えば床上生活が中心でハイハイで移動している子はハイハイの時には邪魔になることもあるかもしれません。脱いだり履いたりがあまり頻回だと大人の手がとれないということもあるかもしれません。そういう場合1日1回だけ決めた活動の時間だけ使用するというのもいいかもしれません。 障害のある子も健康で、様々なことを楽しく経験して、その子なりに成長できるように大人から支援されるべきです。そこに手をかけることは周りの大勢の子にとって決してマイナスにならず、一人一人を大切にしていくんだというやさしい気持ちや、自分も大変な時には助けてもらえるんだという安心の気持ちを育てるプラスの影響があるということも考えたいものです。 こどもリハかわせみ  

脳性麻痺をもった子ども PTさんの専門性って 保育士さんへ①

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 脳性麻痺をもった子どもが保育園に入園しました。療育センターからPTさんが巡回できてくれました。そんな時PTさんは何が得意な人なのか知っていれば話し合いの時に役に立つと思います。 PTは「身体づくりと生活動作の専門家」と言われています。脳性麻痺の子どもで具体的に考えてみましょう。 脳性麻痺をもった子どもは身体の使い方が偏りがちです。片麻痺といって半身に麻痺があると麻痺の無い側ばかりを使いがちです。尖足歩行といってつま先立ちでずっと歩き続けている子どももいます。つまり同じような使い方ばかりをしやすいのです。同じ使い方ばかりだと身体に負担がかかります。使っていない身体の部位の発達を阻害するかもしれません。その子はどんな身体の使い方をしていて、どんな関わりをすると身体にいいのかPTさんは知っていると思います。 脳性麻痺をもった子どもの中には姿勢が保てない、立ち直れない、動作にともなった身体の準備ができないなどいわゆるバランスが悪い子どもがいます。PTさんはその子のバランスのとり方の特徴やバランス改善の方法、安全な動作介助などについても得意分野だと思われます。 又、PTさんはマンツーマンで保護者と一緒に個別指導を40分~60分くらいやるので、保護者と話す機会が多い人でもあります。個別指導場面なので話す内容は限られてきますが、保護者の考えについてよく知っている場合もあります。反対に子ども同士の自然な場面はあまり見ていないのでその様な情報はPTさんにとって貴重なものです。こんなことができますよと教えてあげてください。 ダラダラと書きましたが、今度あなたがPTさんと会う時に少し役立つといいのですが。 こどもリハかわせみ

脳性麻痺 立位保持効果

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  一番最初のイラストは立位保持装置を描いたものです。 立位保持装置の使用は骨脆弱性の防止や下肢関節可動域の改善などに効果があるとするエビデンスレベルの高い研究があります。 立位保持具で固定するポイントは3つです。 ①胸が前にいかないように胸の前 ②お尻が後ろに引かれないように尻の後 ③膝折れがしない膝の前  立位保持具がなくても3つのポイントをうまく押さえると立位を経験させることができる場合があります。 参考文献 脳性麻痺リハビリテーションガイドライン 第2版 p.150 こどもリハかわせみ

脳性麻痺 発達障害 尖足 足の運動

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尖足にある子どもは足関節の周りの筋肉が短縮しやすいので大人が毎日足関節を動かして、筋肉の柔軟性や感覚を養いましょう。 足首が色々な方向に動かせるように、下腿には色々な筋肉があります。筋肉の走行を考えると運動には四つの方向があります。 ①背屈②底屈③背屈しながら内反・外反④底屈しながら内反・外反  全部やった方がいい子もいますし、一部でいい子もいます。その子にどの運動をしたらいいかは担当の理学療法士か作業療法士に聞いてみて下さい。 やる時に少しコツがあって、椅子座位で行う時は子どもがの骨盤が立っている状態行う方がより効果的です。 足ゆびが曲がりやすい子は一本一本の足ゆび伸ばしも併せてやってもらいます。 足関節背屈運動と骨盤を立てる運動の組み合わせ こどもリハかわせみ

発達

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「 発達」は小児期のリハビリを考える上で大切な言葉です。 広辞苑で「発達」という言葉をひくと次のように書かれています。 ①生体が発育して完全な形態に近づくこと。「筋肉の―」 ②進歩してよりすぐれた段階に向かうこと。規模が大きくなること。「産業の―」「―した低気圧」 ③〔心〕個体が時間経過に伴ってその心的・身体的機能を変えてゆく過程。遺伝と環境とを要因として展開する。 一般的には何かが獲得されて完全なもの、良いものに近づく過程という意味がありますが、心理学では獲得だけでなく、喪失も発達と考えられています。 英語の「 developmennt」の語源には「内に隠れたものを外にだす」というような意味があるそうです。 リハの仕事で障害をもった子どもと関わる時にはその子の内側に隠れたものがでてくるのを助けるように考えてます。又、今見えているものだけがその子ではないと思うようにしています。発達には様々な方向があるので一定方向に向かうように決めつけず、絵の歩道橋のようにその子の好きなところに降りられるように関わりたいとも思っています。 こどもリハかわせみ