止まることは発達のはじまり

幼児は走ることが好きです。小学校には「廊下は走るな」の張り紙があります。なぜでしょう。

運動ははじめることは無意識でもできますが、止まることには意識が必要です。小さい子どもには止まることは難しいのです。

2か月くらいの赤ちゃんの手のひらに大人の指をおくと手を握ってきます。これは把握反射といって自動的に起きる運動で3ヶ月くらいで弱くなり、4ヶ月くらいでみられなくなります。特定の刺激があれば必ず特定の運動が出現するのを反射運動といいます。この時赤ちゃん自身が握りこみを止めることができません。手のひらへの刺激があるうちは握ってしまいます。発達してくると意思で運動をコントロールできるようになります。この場合は具体的には嫌になれば指を放すことができるようになります。これは発達による現象です。

意思で運動がコントロールできることは、中枢神経系の活動が脊髄から大脳へと広がってきたことの証です。幼児期から学童期へとより大脳の活動は活発化してくるので、運動を止めることや程度を調整することが容易にできるようになります。自然廊下でぶつかるような事故は減少してきます。(ゼロにはなりませんが)

私が昔支援していた精神遅滞のお子さんは、幼児期の一時期、指導中でもバギーをみるとかならず乗って帰ろうろしてしまうという時期がありました。PTが嫌いというわけでもなく、バギーは乗って帰るものという行動が止められない状態だと考えました。私がそれを止めようとすると非常に怒っていました。しかし、数か月後には本人は他に色々なことを覚えてきて、それほどバギーにこだわることがなくなりました。行動も覚えはじめは必ずその行動をしようとしますが、そのうち状況によって行動を止めたり、調整したりできるようになります。これはなんとなく反射運動から随意運動への発達と似ています。

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