脳性麻痺と自閉症スペクトラムを両方持った子ども達 


 脳性麻痺をもった子どもが自閉症スペクトラムを合併する比率は10~15パーセントといわれています。1)

脳性麻痺の運動障害の代表的のものに①筋緊張の異常②未熟な運動パターンの強い影響などがあります。結果としてバランスや移動という運動機能が阻害されたり、2次的な関節の拘縮変形が生じます。

自閉症スペクトラムの代表的な障害には①コミュニケーションや社会性の障害②イマジネーションの障害(物事の時間的な流れを把握したり、予測したりすることが苦手)があります。感覚や注意の障害も持っている場合も多くあります。

どちらの障害も症状が複雑で個々の子どもにの違いがあります。そのため、状況が許すなら子ども理解のための評価は多職種が関わる方が望ましいと思います。(医師、理学療法士、作業療法士、臨床心理士、言語聴覚士なども関わってきます。)しかし、脳性麻痺と自閉症スペクトラムの両方を詳しく知っているセラピストは少数なので、どうしても自分のよく知っている障害の方によせた評価になりやすい傾向があります。脳性麻痺だけの障害の方にも独自のコミュニケーションや社会性の障害があり、自閉症スペクトラムだけの障害の方にも独自の姿勢運動の障害あるので話は複雑です。しかし、専門家がそれぞれの子どもの個性をよりよく理解する目的で一致することが大切だと思います。

参考文献                                   

1)脳性麻痺リハビリテーションガイドライン第2版 p.230-237:監修 公益社団法人日本リハビリテーション医学会 2014 金原出版株式会社

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