精神運動発達遅滞 


 何らかの原因で知的な発達と運動発達が遅い子ども達を精神運動発達遅滞と言います。原因は特にわからない場合も多くあります。

赤ちゃんの運動の発達が遅いので這い這いを促す方法などをお母さんに伝えて下さいと医師から指示があります。

理学療法士はその子の行動や運動を評価して這い這いをしないのか評価をします。評価の項目は健康面、母子関係、筋緊張、バランス反応、行動の発達などです。

栄養が悪かったり、何らかの疾患があると運動の発達が遅れることがあります。母子関係が安定しない場合も影響が出る場合があります。その場合はまずそちらの対応を医師や保健師さんにしてもらいます。

筋緊張やバランス反応の評価では感覚運動神経の成熟の度合いがわかります。脊髄、脳幹、大脳皮質感覚運動野の成熟状態が結果に影響します。運動の発達には頭尾の法則や中枢から抹消へなどという運動発達部位の変化の順序性があるので、その子どもの発達に適した運動を処方します。

又、行動面の発達評価も欠かせません。ずり這いがでてくるのは教科書的な発達では7~8ヵ月くらいです。この頃の赤ちゃんには人見知りがではじます。玩具を容器にいれたりもはじまります。これは赤ちゃんが自分で頭のなかでお母さんのイメージや玩具が容器に入った時のイメージを思い浮かべられるようになってきたことを示します。見えているものに手を伸ばすのは距離が短いのでイメージを思い浮かべられなくてもできますが、数メートル先の物にずり這いで近づくためにはある程度頭の中でイメージを思い浮かべることができる必要があります。これは想起といい記憶が意識的に思い浮かべられるようになったことを示します。脳では前頭前野の活動が始まってきている状態です。感覚運動の繰り返し遊びの段階か、少し目的を意識できるようになっているかで対応方法は変わります。

「どこに原因があるか、今できていることは何か、少し配慮すればできそうなことは何か。」を考えることが大切だと思います。

赤ちゃんを取り巻く家庭はとても敏感で傷つき易いものです。理学療法士は運動発達を促す役割ですが、本質的には子どもと家族を支援する立場であることも忘れてはいけないと思います。



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