脳性麻痺スペクトラム

 

スペクトル(spectrum)
の意味はデジタル大辞泉によると「1 可視光および紫外線・赤外線などを分光器で分解して波長の順に並べたもの。2 複雑な組成をもつものを成分に分解し、量や強度の順に規則的に並べたもの。」だそうです。


自閉症スペクトラムという診断は現在一般的に使用されるようになっていますが、Shevellは2018年に脳性麻痺という診断を脳性麻痺スペクトラムにしてはどうかという提言をしています。1)

脳性麻痺の運動機能障害は麻痺のタイプや分布、粗大運動能力の分類によってかなり多様性があることはご存知のことと思います。

運動機能障害以外の合併症も多様です。比較的新しい脳性麻痺の定義である2005 年の Executive Committee for the Definition of Cerebral Palsy では、「 脳性麻痺は運動と姿勢の発達が障がいされた一群をさす。その障がいは,胎児もし くは乳児(生後 1 歳以下)の発達途上の脳において生じた非進行性の病変に起因する もので,活動の制限を生じさせる。脳性麻痺の運動機能障害には,しばしば感覚,認 知,コミュニケーション,知覚,行動の障がいが伴い,時には痙攣発作がともなうこ とがある。」としていて運動機能障害以外に多くの合併症があることをわざわざ記載しています。2)

脳性麻痺の原因についてはこれまでは出生前後の感染や、低酸素などが大部分とされていましたが、一部に遺伝子や染色体の構造変化による要因があることもわかってきました。

脳性麻痺は脳性麻痺スペクトラムという診断が提言されるほど多様な原因や状態像を示す診断です。この事を意識することで、より個々のニーズにあった支援の方法が選択されることにつながると良いと思います。

参考文献
1)Shevell M. Cerebral palsy to cerebral palsy spectrum disorder: time for a name change? Neurology 2018. [Epub ahead of print]
2)Bax M, Goldstein M, Rosenbaum P, et al.: Proposed definition and classification of cerebral palsy, April 2005. Dev Med Child Neurol 47: 571-576, 2005.

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