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こどもリハ 乳幼児期 環境調整

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  乳幼児期は子どもの脳の発達が著しい時期です。運動も行動も様々に変化していきます。そのため、大人の関心が子ども自身を変える発達支援に向くことが多くなりがちですが、子ども達の周りの環境を調整することにも目を向けましょう。本人にとって快適で楽しい環境の提供は障害をもった子ども達に経験や自信という宝物を与えることになるでしょう。 子ども達を変えることをでなく、周りの「ヒト」や「モノ」を変えることで障害を軽減することを環境調整といいます。ちなみに障害を考える時には「医学モデル」と「社会モデル」の二つの考え方があり、現在では「社会モデル」で考えることが中心になりました。これは本人の機能が変わることで障害を軽減する「医学的アプローチ」を否定するものではありません。必要に応じて「医学的アプローチ」を利用しながらも障害の本質は環境との相互作用にあるので社会の側を変えようとする考え方です。 乳幼児期の環境調整を考える時には「ヒト」「モノ」2つの領域で考えると良いでしょう。 「ヒト」環境の調整:子どもを変えるのではなく、周り人が態度をかえましょう。言葉だけでなく、その子の表情や態度も含めて本人からの発信や何らかの表現をみつけるようにしましょう。本人が今すでに表出している何かをもとにやり取りをしてみましょう。どんなことでも子どもの「ヒト」への興味感心が増えることは本当に大切なことです。 「モノ」環境の調整:周囲の環境や課題を子どもが行動しやすいものに変えましょう。落ち着きやすい環境、わかりやすい環境、自発的に関わりやすい環境をみつけましょう。運動障害をもった子どもの場合は自発的に関われる環境の工夫として移動補助具、各種スイッチ、姿勢保持具、おもちゃの選定などがあります。 こどもリハかわせみ

ダウン症をもった子どもへの支援 つかまり立ちからつたい歩きへ

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ダウン症をもった子どもが子どもがつかまり立ちを始めた時、よく見られる姿勢は絵のようにつま先が大きく外側を向いていて、足幅は広めで、足の小指側が浮くような姿勢です。 専門用語では股関節外転外旋位、足部回内(外反扁平)で立っているといいます。 どうしてこういう姿勢で立つのでしょうか。腹部の筋肉や股関節周り、足周りの筋肉の低緊張が影響しています。脚を開くような運動経験が多く、脚を閉じる方向の運動経験が少ないため脚の使い方に独特癖がついていることも原因です。 体幹や股関節、足部の筋肉が上手く使えないとバランスがとりにくいため、つたい歩きの開始が遅くなります。「つかまり立ちができたのに、なかなかつたい歩きをしないので心配。」というお母さんにはつかまり立ちの姿勢を助言します。 ①外側に向いているつま先を前方に向ける ②足幅が広すぎる時は肩幅くらいにする ③足の小指側が浮かないように床に軽く押つける 家では気が付いた時にやってみて下さいといいます。PTの時にはいつもやってみるようにします。 こうすると腹部や股関節周囲の筋肉が使いやすくなります。足全体で体重をうけると足裏の感覚も育ちます。少し経験を積み重ねると赤ちゃんがつたい歩きで動きたいと思った時自然と足がでやすくなります。 こどもリハかわせみ  

小児理学療法について

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 小児理学療法という言い方があります。 「小児」というのは医学用語だそうです。年齢としては小児科を診療を受ける年齢だそうで、明確な規定はないそうです。小児理学療法学の授業では子どもの特性を考慮して理学療法を実施するための知識や技術が教えられます。 重要な子どもの特性としてここでは2つあげてみたいと思います。 ①発達が急激な時期であること:発達は加齢に伴う心身の継続的な変化をさします。子ども時代は変化が大きい時期です。身体面として神経系、運動器系、内臓、ホルモン系など全身の器官が成長します。また、行動や社会性などの心理的な側面も変化します。 正常と言われる子ども達(正規分布の山の頂点近くにいる子ども達)の各年齢における特徴を勉強する事も大切です。その上で非常にユニークな障害を含めたその子なりの発達を考えるといいと思います。その子どもの現在の月齢や年齢を考慮することも大切です。 ②大人の支援を多く受けている時期であること:大人から個人的・社会的な物理的支援を受けているだけでなく、理解や信頼、寄り添い、励ましなどの言葉で表現されるような精神的な支援も必要とされる年代です。(もちろん年齢ごとにその内容は変化しますが)その子どもの身の回りにいる大人の行動や認識を理解し、必要に応じて支援したり、助言したりすることは重要です。理学療法士自身も障害を持った子どもの身近にいる大人の一人です、自分自身の考え方や行動ももう一度問い直してみましょう。 こどもリハビリ相談

ダウン症をもった子どもへの理学療法士の関わり

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 ダウン症をもった子どもへの理学療法士の関わりを年代ごとにまとめました。 0歳~3歳ころまでの関わり •         姿勢運動発達の促進 •         歩行獲得支援 •         家族支援 (運動発達に対する情報提供や不安軽減) •         靴のフィッティング、必要に応じてインソール等の作成 3歳~就学までの関わり(   より活発な生活を目指して) •         幼稚園、保育園など集団での運動場面への参加方法検討 •         水泳、ダンス、リトミック、体操、三輪車など運動経験の拡大に向けた支援 就学以降の関わり •         肥満、疲労、二次的な関節変形への予防的対応(スポーツ活動への助言) •         教師や両親と学校での活動内容の相談 •         必要に応じて装具検討 こどもリハビリ相談

脳性麻痺等 拘縮はなぜ進むのか

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 脳性麻痺など胎児期から生まれてすぐの時期に生じた脳障害によって運動に困難さを持った子ども達は乳児期よりも関節の可動域が減少したり、変形拘縮が進行する場合があります。脳の病変が進行するわけではないのに、変形拘縮が進むのはなぜでしょうか。 1.骨の長さが伸びる時期に筋肉が伸びない 骨は自分で伸びていきますが、筋肉は運動で延ばされることによって伸びていきます。運動が少ないと骨だけ伸びて筋肉の長さが変わらないために関節可動域の制限が進行します。  2.重力の影響 重力は24時間身体にかかります。それによるつぶれは変形拘縮の大きな原因の一つです。例えば低緊張の足を持っている子どもでは体重によって足が回内につぶれます、毎日同じように体重をかけ続けると回内変形が進んでくる場合があります。背臥位で過ごすことが多い子供では胸郭が扁平化することもあります。 3.限られた筋肉の使いすぎ 限られた使える筋肉だけで抗重力活動を行うので使える筋肉が短縮して、変形拘縮につながるということもあります。例えば、低緊張で外反した足の子どもにはふくらはぎの内側の筋肉が使いにくくて、外側の筋肉だけで頑張るのでそこが硬くなって踵がより外側に偏位している子どもをみかけることもあります。沢山種類のある筋肉を効果的に使えないことも脳障害からくる変形拘縮が悪化する原因の一つです。 変形拘縮にはどんな防止策があるのでしょうか。 ①動かす 関節を動かすことが大切です。ストレッチもその一つです。寝たきりの子どもの日常姿勢の種類を増やすこともストレッチや筋力強化になり、結果変形予防になります。 ②良いアライメントをとらせる 骨を適切な配置にすることで動作に複数の筋肉を使いやすくなります。このことは身体のつぶれを防ぎ関節可動域を維持することに役たちます。足の例を挙げます。 ③手術や薬による治療で変形拘縮を改善することもできます。 こどもリハビリ相談

脳性麻痺 上肢変形

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 脳性麻痺の上肢の変形では掌が上を向かない(回外制限)が手指の伸展制限や母指の濁りこみの変形よりも多かったという論文があります。指だけでなく前腕もゆっくりと動かしてあげましょう。 前腕回外の動きは尺骨の周りを橈骨が回っていくような動きです。動かしてあげる時は橈骨(前腕の親指側)の肘に近い場所と手関節に近いところを同時に持つような感じでゆっくりと手の平を上の方に向けてあげましょう。 参考文献 Eun Sook Park,Eun Geol Slim,Dong-Wook Rha: Effect of upper limb deformities on gross motor and upper limb functions in children with spastic cerebral palsy 2011 こどもリハビリ相談

脳性麻痺 片麻痺 両手を使う

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 脳性麻痺で片麻痺を持っている子は麻痺側の手をあまり使いません。大人が少し工夫して使う機会をつくることは大切です。その子なりに麻痺側の手にもボディイメージをそだてましょう。 ①普段から麻痺側の手にも気づかせてみる。麻痺の無い側の手を使う時に麻痺の手で抑える使い方ができるか試してみましょう。 ②普段の遊びの中にも両手を使うことを促しやすい遊びがあります。 ままごと 人形遊び ボール遊び ③子どもさんが嫌がるようなら、無理にやらせず、まず原因を考えましょう。OT.PTの先生に聞いてみるといいと思います。 こどもリハビリ相談