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うつ伏せで遊ばせる

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タミータイム(tummy time)ということばをご存知でしょうか。英語でお母さんたちが見守っている状態で赤ちゃんをうつ伏せで遊ばせることをいうそうです。日本語には同じような意味の言葉はないそうです。うつ伏せは安全に配慮して楽しみながら行えれば発達を促すことにつながります。そのため英語には特別そのような言葉があるのかもしれません。  うつ伏せ姿勢でこどもが遊ぶために必要なことは二つあります。 ①頭や上体を床から持ち上げること ②上肢で支えること こどもは①や②の能力が持続的にできないとうつ伏せで遊ぶことができません。 うつ伏せの乳児の姿勢の発達をみてみましょう。 新生児は呼吸のたまに頭を瞬間的あげられますが、持続してあげていることはできません。体幹はまだ床からあげられません。上肢は支持に使われていません。 3ヵ月になると物をみるために頭を持続的あげておくことができます。体幹は胸のあたりまであげることができます。肘で支えることができます。 6ヵ月になるとより遠くを見ようとして体幹がお腹のあたりまであげることができます。上肢は肘は伸ばして手のひらで支えることができます。 うつ伏せ姿勢で赤ちゃんを楽しく遊ぶコツは二つあります。 ①頭や上体を上げやすくすること②上肢で支えやすくすることです。 ①頭を上げやすくする工夫 頭や上体を上げやすくするための工夫は何か興味のある物をみせることです。お母さんやお父さんの姿、動いたり見ていて面白い模様の玩具などが好きです。 上体を上げやすくする工夫 胸と床の間にバスタオルで作ったロールやお母さんの脚をいれてあげると状態をあげやすくなります。 ②上肢で支えやすくする工夫 肘や手のひらをつく位置が大切です。赤ちゃん自身の肩の下あたりにつけさせると支えやすいようです。

坐ったまま移動する赤ちゃん

 赤ちゃんの多くは這い這いで移動する時期をへて歩きはじめます。でも中には座ったままの移動(いざり)から歩いていく子がいます。 お父さん、お母さんはこの子は病気なのかと心配する場合があります。しかし、安心してください、その子どもは病気ではありません。正常発達のバリエーションの一つであるとされています。 いざり移動の子どもはうつ伏せを嫌う子が多いのですが、保健所の赤ちゃん検診の時などにうつ伏せ過ごすことがない子どもに対してうつ伏せで遊ばせることを勧めてくる場合があります。うつ伏せや這い這いの時に使う筋肉は、いざりの時に使う筋肉と違います。そして乳幼児の運動発達を促す時の原則の一つに色々な運動や姿勢を経験させるというものがあります。このような観点から できるなら うつ伏せに誘ってみたらいいと思うのでしょう。 ここで大事なことは できるなら ということです。いざり移動を好む子どもの中にはうつ伏せをとても強く嫌がる子どももいます。もし、お母さん自身が楽しめる範囲で、赤ちゃん自身が楽しめる範囲でうつ伏せの活動が促せるのであればチャレンジしてみて下さい。でも無理をしないで下さい。子どもの発達には様々な道があることを考えてみましょう。その子にとっては今は見守る方がいいのかもしれません。泣き叫ぶ赤ちゃんとの板挟みでお母さん自身が不安にならないで下さいね。

乳児の運動を促す(赤ちゃんの意欲について)

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 乳児に運動発達を促そうとする時に役立つように書きました。 運動を自動車に例えれば、自動車自身の機械としてのつくりが万全であっても運転手がのらなければ自動車は動きだしません。ガソリンが入っていなけれ自動車は動き出しません。 乳児の身体が自動車だとすれば、運転手にあたるものは何でしょう。目的をイメージする脳の働きです。ガソリンは健康や身近な世話をしてくれる大人の愛情です。 乳児が目的をイメージするとはどういうことでしょう。乳児期前半は目的をもった行動は明確ではありませんが、感覚と運動を結び付けて、自分で同じ状況を繰り返しつくりだすことが目的をもつことにつながっていくと言われています。 ガラガラを偶然ふったら音がでたので、その行動を繰り返すのはそれにあたります。 大事なことは赤ちゃんが楽しんで繰り返すことを発見して、そのような状況を大人も楽しみながら付き合ってあげることでしょう。 赤ちゃんはどんなものに興味があるでしょう。一番は人の顔かもしれません。音のするもの、動きのあるものが大好きです。運動を促すということを考えれば自分で何かすると動きがでるものの方がいいかもしれません。 赤ちゃんは視覚、聴覚、体性感覚(自分の動きを感じ取る感覚)を同時に使うことが好きです。そうすることで脳の中に新しい神経ネットワークを作ることができます。それは将来目的をもって世界に関わる基礎となります。 療育センターやこども病院の理学療法室にはよく写真のようなおもちゃがあります。左の写真のおもちゃは寝返りやお座りの際に使うことが多いおもちゃです。右側のおもちゃはうつ伏せで遊ばす時に使うことが多いおもちゃです。

乳幼児の運動

 乳幼児の運動は大人の運動とは違います。大人は健康や楽しみのために運動をします。乳幼児は世界を実感するために運動をします。 見えるもの、触れるもの、遠くのもの、近くのもの。子どものは世界の実感を運動を通してまなびます。それが将来言葉や思考の土台になります。 身の回り世界を身体で知ることはこどもにとってとても楽しいことです。こどもは楽しいことをどんどんやります。どんどんやればどんどんうまくなります。 こどもは大人に比べて簡単に怖がります。ですから、こどもを過度に怖がらせてはいけません。怖がっているこどもは冒険をしません。今できていることしかしません。こどもを安心させましょう。失敗しそうなら、こどもに手を貸してあげましょう。手助けは有効な教育的な手段の一つです。 公園のアスレチックの梯子を登りたそうにしているこどもがいます。でも、うまくできる気がしなければあきらめてしまうかもしれません。そこであなたの出番です。ちょっとこどものお尻をおしてあげましょう。一度成功できれば、次からは一人でやりはじめるかもしれません。