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つま先立ちばかりする子には色々な原因があります

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赤ちゃんが自分でつかまり立ちをする頃、立つ時はつま先立ちしかしない子どもがたまにいます。親御さんは心配です。多くのつま先立ちをする子供をみていくとそれぞれのお子さんでかなり状態が違うことがわかります。 ①足の裏をつくことや、足の裏に触られることが嫌いな子 ②膝をのばそうとすると一緒に踵が上がってしまう子(関節運動の組み合わせが限られている子) ③アキレス腱反射の亢進している子(筋肉を伸ばされることに過敏で、筋肉の張りの強い子) ④筋肉の張りが弱い子 筋肉の張が弱いと外反扁平などになりそうですが、中には立位をとる時に脚全体の筋肉の収縮を高めるために踵を上げて立つ子どももいます。 ⑤その他 ①~④は全て神経の発達に影響された状況ですが、筋肉など神経以外に原因がある場合もあります。 複数の状態が当てはまる子もいますし、一つだけの状態が当てはまる子どももいます。つま先立ちの程度にも一人一人差があります。将来的に何らかの障害を持つ子もいますが、特に生活上の支障なく育つ子も多くいます。症状の程度や年齢なども含めて判断をした方がいいので、心配であれば小児科医師など専門家に相談しましょう。 PTは子どもの状態に合わせて最適な感覚運動経験を提供したり、ご家族の心配に答えたりすることができます。つま先立ちの子どもへの対応の一例として椅子や大人の膝に座った状態で足裏を床につけさせたり、そこからの立ち上がりを経験させるようなホームプログラムを提供することがあります。新しい感覚運動経験をさせることで、それまでと違う運動発達をひきだすための、きっかけづくりのプログラムです。 こどもリハビリ相談

知的障害や発達障害をもった子どもの足の異常と疲労

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  知的障害や発達障害を持った子どもの中には、足の形に問題がある子どもがいます。問題というのは扁平足だったり、つま先立ちのことです。 足の形に問題がある子どもは協調性やバランスや敏捷性などの運動能力も低い子どもが多いことはよく知られています。立ったり歩いたりしている時に地面に接しているのは足なので、足が上手く形を変えて地面を蹴らないとバランスがとりにくいのです。 注:バランスがとりにくい理由はそれだけではありません。 そういう子どもは疲れやすいということも知っておいてください。特に小学校・中学校と身体が大きくなると疲れやすさが増します。足でバランスがとりにくい分を太ももやお尻や腰の筋肉を余計につかってバランスをとっているからです。中には太ももやお尻の外側の筋肉が強く張っている子どもがいます。 疲れやすさに対する対策も検討していくことが必要だと思います。 具体的には①体重のコントロール②運動量のコントロール③足に合った靴やインソールの使用④ストレッチやマッサージによる疲労軽減などがあると思います。 知的障害や発達障害を持った子どもの中には脳性麻痺という診断がついた子どもほど足の問題に注目されていない方もいるようです。子ども時代は人生のほんの一部です。長く健康な生活が送れるよう支援したいものです。 こどもリハビリ相談

歩いて疲れにくい靴 精神遅滞のある子に対する考え方

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  絵は登山靴です。登山をする時はジョギングシューズではなく登山靴をはきます。その方が安全で疲れにくいからです。なぜ登山をする時は登山靴の方が疲れないのでしょうか。登山靴は靴底が厚く、ハイカットなので、足を回内外する力に負けないようにできています。山では地面が凸凹していて足にかかる力の方向が様々で足が変形しやすいです。それを自分の足の周りの筋肉の働きだけで対抗していると疲れがきてしまうのです。 精神遅滞のある子どもの中には足の周りの筋肉が柔らかくて扁平足が生じやすい子どもがいます。中には絵の様なインソールを使用している子もいると思います。このような子ども達の親御さんから疲れない靴はどういう靴ですかと質問を受けることがあります。 その時は登山靴の説明をし、足首が横にスライドすると疲れやすいことも伝えます。そして、本格的な登山靴とスニーカーの中間くらいの靴をお薦めします。具体的には ①靴底は少し固めのもので、足の前3分の1のところで曲がる ②靴ひもかマジックテープなどで締めの調整ができる ③インソールの使用 ④ミドルカットかハイカットで足首を保護する の4つの要素をお伝えしています。 靴のサイズが大きくなるとミドルカット、ハイカットの品物があまりないようですが、①②③があてはまるだけでも大分違います。ハイキング用の靴などにはいいものがあるかもしれません。 こどもリハビリ相談

重症児 テクノロジーの利用を妨げるもの

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電動車いすを導入しようと本人用を身体障害者手帳で申請しても、生活場面で一人で使えないと理由で申請が通らないことがあります。 練習でやっと使えるくらいの能力では本人の生活は改善しないので支給は難しいということです。 それならば練習が必要ですが、練習をする機会はどこかで与えられるのでしょうか。学校で練習すればいいと思いますか?確かに学校には備品や寄付の電動車いすは何台かあります。でも障害の状態は人さまざまです右手がわるかったり、左手が悪かったり、座位が不安定だったりと個々の状況が大きく違います。車椅子を本人の状態に合わせないと実力は発揮できません。本人の状態にあった車いすが必要です。リハセンターに行けばと思われるかもしれません。でもリハセンターが利用しにくい地域もあります。 障害を持った子どもの状態は様々ですので、一人一人に合わせた道具で練習ができる場は保証したいものです。特に生まれつき障害のある子どもは自分で移動した経験がないので練習がより必要です。 これと似たようなことはコンピュータを利用した代替コミュニケーション機器でもあると思います。練習しなければ使いこなせないが、一般用では練習にならないのです。 障害のある子どもとあまり関わりがない方は障害の状態が非常に個別的であることを知っていてください。機能を補助する道具は個々に合わせたものが必要になります。しかし、個人で購入するには価格が高いのです。また、練習をするとテクノロジーを使えるようになる子どもに十分な機会が与えられていないということも知っていて下さい。 障害児支援に関わっている方は、一人でも多くの子どもの可能性を引き出す方法を検討しましょう。埋もれてしまう子どもをなくしましょう。(様々な努力をされている方がいます。)経済的にマイナスになるのだから、どこかであきらめなければならないというようなことを、現在ある制度だけをみて決めつけるのは止めましょう。 今後障害児支援に利用できる様々な素晴らしいテクノロジーが出現してくると思います。それを多くの障害児が利用するためには制度上の限界を超える方法の検討が必要だと思います。 こどもリハビリ相談  

赤ちゃんが歩けるようになる

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赤ちゃんが歩くのは感動的です。 お母さんのお腹から生まれた時は首もすわっていなかったのに。 なぜ歩けるようになるのでしょうか。 実は生まれたての赤ちゃんは脇を支えて立たせて床に足を触れさせると足を交互に動かします。ところが2か月頃になるとそういう運動をしなくなり、10ヶ月くらいで自分でつかまり立ちやつたい歩きをはじめて、1歳くらいでは一人で歩くようになります。不思議ですね。 それは中枢神経の成熟に影響されていることが原因だとういう説があります。生まれたての赤ちゃんは中枢神経でも皮質下の活動が主なのですが、しっかりと大脳皮質とネットワークができてくると一人であるけるようになるという説です。そして大脳皮質とのつながりを構築する一時期歩行運動がみられなくなるというのです。 私たちは運動発達に遅れや障害がある子どもへの支援をしているので、何が発達すると歩けるようになるのかという視点でみるようになります。 その視点でみると ①筋力 重力に負けないで運動できるようになる ②バランス 姿勢を保てる、姿勢を保ちながらも運動ができる の発達が必要ということになります。 筋力やバランスも中枢神経の成熟の影響があるので、全く違う側面から見ているわけではありません。ただ、私たちはどんな経験が中枢神経系の成熟に好影響を与えるのかという方向からこどもに与える経験の質や量について考えていきます。 こどもリハビリ相談  

止まることは発達のはじまり

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幼児は走ることが好きです。小学校には「廊下は走るな」の張り紙があります。なぜでしょう。 運動ははじめることは無意識でもできますが、止まることには意識が必要です。小さい子どもには止まることは難しいのです。 2か月くらいの赤ちゃんの手のひらに大人の指をおくと手を握ってきます。これは把握反射といって自動的に起きる運動で3ヶ月くらいで弱くなり、4ヶ月くらいでみられなくなります。特定の刺激があれば必ず特定の運動が出現するのを反射運動といいます。この時赤ちゃん自身が握りこみを止めることができません。手のひらへの刺激があるうちは握ってしまいます。発達してくると意思で運動をコントロールできるようになります。この場合は具体的には嫌になれば指を放すことができるようになります。これは発達による現象です。 意思で運動がコントロールできることは、中枢神経系の活動が脊髄から大脳へと広がってきたことの証です。幼児期から学童期へとより大脳の活動は活発化してくるので、運動を止めることや程度を調整することが容易にできるようになります。自然廊下でぶつかるような事故は減少してきます。(ゼロにはなりませんが) 私が昔支援していた精神遅滞のお子さんは、幼児期の一時期、指導中でもバギーをみるとかならず乗って帰ろうろしてしまうという時期がありました。PTが嫌いというわけでもなく、バギーは乗って帰るものという行動が止められない状態だと考えました。私がそれを止めようとすると非常に怒っていました。しかし、数か月後には本人は他に色々なことを覚えてきて、それほどバギーにこだわることがなくなりました。行動も覚えはじめは必ずその行動をしようとしますが、そのうち状況によって行動を止めたり、調整したりできるようになります。これはなんとなく反射運動から随意運動への発達と似ています。 こどもリハビリ相談  

発達支援

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こどものリハでも、療育でも、児童福祉でもこどもの生活と発達を支援することは根本の目的です。 発達とは加齢に伴う、心身機能や形態、生活の変化をいいます。時間軸上の変化の問題です。変化を生み出すものは遺伝的な要因と経験の相互作用によると言われています。 どのような子どもでも生まれたものはいつか死に至ることは予想できます。しかし、それぞれの赤ちゃんが生涯にわたってどのような発達や生活をするのかを細部に渡って見通すことは大変困難です。それは人の生涯に無限の変化の可能性があるからだとも言えます。 また、ヒトの子どもが多くの周りの人に影響を受けて発達するということも大変大切な事だと思います。 幸運にもこどもの今日の生活を支える役割のある大人は、あなたが今日そのこどもに与えた影響が将来のこどものありようを変える可能性ももっていることを意識しましょう。 自分のことでいえば、理学療法士はこどもの運動経験の質と量がどのようにその子の将来の生活や発達に影響を与えるのかについて詳しく知っていて、本人・家族・関係者にわかりやすく伝えることができると良いと思っています。 こどもリハビリ相談