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赤ちゃんの脳の発達のために

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 赤ちゃんの脳の発達を促すためには3つのポイントがあるといわれています。 ①身近な大人とのコミュニケーション ②遂行機能の発達 ③過剰なストレスを避ける ①身近な大人とのコミュニケーション ここでいうコミュニケーションとは言葉だけでなく表情や発声なども含めた大人とのやり取りのことです。赤ちゃんが笑う⇔大人が笑う、赤ちゃんが声をだす⇔大人も声をだすなどターンテイキング(話者交替)が大切だそうです。人は集団でいきていく生き物です。人との関係の最初の一歩をしっかり経験させることは重要です。 ②遂行機能の発達 遂行機能とは目的を持った行動を効果的に成し遂げるための機能です。例えばゴミをゴミ箱に捨てるという行動は、ゴミ箱に捨てる目的を理解し、記憶する必要があります、又途中で飼い猫が前を横切って走ってきたらそれに気づき立ち止まらなくてはぶつかって転んでしまいます。また、自分が猫について行ってしまっては目的が達成できません。記憶や注意の配分を時によって優先順位をつけながらうまく使っていくことが必要です。赤ちゃんの遂行機能は自発的に感覚や運動を使って様々な環境を探索することで自然に発達します。遂行機能の発達の大事さについて親御さんが知っていて安全に探索できる(動き回れるような)環境を提供することは良いでしょう。 ③過剰なストレスを避ける 小学生に比べて赤ちゃんは緊張や、不安になったりしやすく(ストレス状態)、その状態から通常の状態に戻る力も弱いと言われています。過剰なストレスは脳の成長にも悪い影響があると言われています。過剰なストレスとは長期間にわたり緊張状態を強いられているような状況を言います。回復可能なストレスは行動の発達を促すという良い側面もありますのでストレスを全く与えないようにしろということではありません。しかし、基本的には赤ちゃんが安心できて、楽しそうにいられることは大切です。 参考サイト THE BRAIN STORY

乳幼児の運動を促す(タイミングの重要性について)

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 乳幼児期は神経ネットワーク形成が盛んにおこなわれる時期です。年を重ねると子どもが示す運動様式も大きく変化していきます。四つ這い移動をしたり、伝い歩きをしていた子どもがいつか一人で歩きだします。 親御さんにとってはとても楽しみですし、周りに同じ年齢の子どもいて先に歩いてると少し不安になったりもします。 昨日はじめて伝い歩きができた子供が今日一人で歩きだすということはあまりません。この期間にはかなり個人差があって一概に何か月したら一人で歩くよということはできません。この期間の長さは子どもの神経ネットワークの成長や筋肉の成長や行動傾向、経験の量や質によっても変わってきます。 運動仕方をよく見てみると同じ伝い歩きでも初期に比べて足のステップがスムースになる、体幹の回旋運動をなうようになるなどの変化があります。 このことから言えることは何でしょうか。歩く練習や遊びをさせるにしても伝い歩きを習熟させる時期と独り歩きへチャレンジする時がありその子に合わせた適切なタイミングあるということです。 ある一人の子どもに大人がどのようにかかわるのか、これには適切なタイミングがあるということは運動面だけに限らず子育ての基本であると言われています。ある先生からこのような助言を受けたことがあります。 「子どもと付き合う時に大事なことは愛と信頼だよ。愛とは子どもに合わせてあげること、信頼とはいつかできるようになると待ち続けることだ。」 人間というのは長期間を子育てに費やす動物です。親はその子どもに対して適切な時期を見極める力も持っているのではないでしょうか。ただ、親が他の子どもと比較したり、焦ったりしすぎることはその力を弱めてしまうように感じます。

歩くことが上手になる

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 歩くことが上手になるというのはどういうことでしょうか。長い距離が歩けるようにようになった。転ぶことが少なくなった。そのような変化は歩くことが上手になったと言えると思います。歩くことが上手になった子どもは同時に歩き方も上手になっています。 下の絵は歩き始めの子どもを描いてています                        右足を前にだすために左側に上体を傾けています。両手は胸よりも高くあげられています。左右の足の間隔は肩幅よりも広くなっています。 下の絵は歩くことが上手になった子どもを描いています 右足をだすために上体を左側に傾けることがなくなり、その代わりに体幹かの捻じりがはいってきます。左右の足の幅も狭くなってきます。 歩き方が変わるためには子供の二つの能力の向上が必要といわれています。 ①体幹を上手に使えること  上手というのは体幹に前後・左右・回旋(ねじり)の動きができることです。這い這いや伝い歩きなど歩く前に獲得される動作の中で習得されます。歩き始めたからといって歩くことばかりでなく、這い這いや伝い歩きで色々なところを動きまわりましょう。 ②バランスが上手になること 床がでこぼこであったり、段差があったり変化に富んだ環境の中で動きまわりましょう。不意に転びそうになっ手も立ち直る能力、自分でこれから起こる体の変化を予想して動き回る能力を身に着けることが大切です。必ずしも歩いて移動しなければならないという訳ではありません。這い這いや伝い歩きなどすでに安定している姿勢の方が子どもの体から余計な力が抜けています。そのためバランス対応もしやすく練習効果が高くなる場合が少なくありません。

動こうとしない赤ちゃん

赤ちゃんの中にはあまり自分から動こうとしない赤ちゃんもいます。動こうとしないというのは、例えば①座らせれば座れるけれど自分で、うつぶせから座ろうとしない、逆に座ったままうつ伏せになろうとしない②うつ伏せはできるが自分から這い這いをしない③仰向けにねているだけで寝返りしない というような赤ちゃんです。色々な姿勢をとらせればその姿勢をとり続けることができるので、筋肉自体や姿勢保持や姿勢の立ち直りというような基礎的な神経の働きはそれほど悪くありません。そこで考えられる原因の一つとしては、動こうとする意欲や動くことの計画が弱いのではないかということです。 このような赤ちゃんに対して運動発達を支援する際の基本は ”とにかくその子の好きなものや遊びをみつけること、その子が動きやすい姿勢をみつけることから始める” 他の子どもと同じものを目指すのではなく、その子が受け入れられるものをさがすという態度が大切だと思います。 ”ゆらしたり、くすぐったり、マッサージをしたりとその子の楽しめる体の感覚で遊んであげること” 子どもは運動自体を学習するのではなく、運動した時感じる感覚を学習します。学習された運動感覚は記憶されて、子どもが動こうと思った時に使われます。難しい言葉では体性感覚といいますが、体性感覚の経験を増やし神経が活動しやすい状態にすることも自発的な運動の基礎作りとして大切です。

座位を促す

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赤ちゃんに座位の発達を促す時の代表的な方法を2つ紹介し、その効果違いについても説明します。 ①大人が膝に座らせたこどもを傾ける方法 こどもをお母さんの膝にのせて、お母さんはこどもの体幹を支えます。お母さんが左右の膝高さを変えることでこどもを側方に傾かせることができます。こどもは傾きに負けないように頭と体を立ち直らせてきます。 ②こどもが自分でおもちゃに手をのばすようにしむけてバランスをとらせる方法 こどもはお母さんの脚の間にすわらせます。おもちゃを側方や上方に提示して、こどもがそれに手を伸ばすようにしむけます。こどもは手をのばすときに重心の移動が起こるのでバランスを促すことができます。 ①②の方法がどちらが効果がよりあるということではありませんが、バランスの練習と考えた場合には①と②では違ったバランスの種類を練習していることになります。①の方法では重心の移動はお母さんが左右の膝の高さをかえることで始まります。このようなバランスを外乱応答といいます。重心が外側からの力で変えられたのでそれに反応してバランスをとっている反応です。「反応性の姿勢制御」といわれるものです。②の方法ではこども自身が重心の移動を意図して開始します。こどもは重心の移動に先立ってバランスをとり始めるため「予測性の姿勢制御」といいます。 ①の方法では重心移動に対してバランスをとるという神経の働きと筋肉の収縮が練習できます。②の方法ではそれを予測し開始するという神経の働きと筋肉の収集が練習できます。 どちらの方法がその子に適しているかはそれぞれですが、実生活でバランスをとれるようになるためには①②どちらの働きも必要であると言われています。

這い這いを促す

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うつ伏せで余裕をもって遊べるようになるとこどもは這い這いをはじめます。 こどもに這い這い移動を促したい時は、這い這い移動の前提条件を整えるとよいと思います。前提条件は二つあります。 ①遠いところにあるものや高いところにあるものへの興味がでること 生後6か月頃にこどもは上手に両眼でみたり、遠近感を感じたりという視機能が発達してきます。視力は0.07ぐらいですので遠くのものにピントを合わせるのはそれほど上手ではありませんが、動いているものやコントラストのあるものなどには興味をしめします。今までは手の届く世界よりも少し遠くや高いところにあっても触って確認したがります。 ②側方や上方への重心移動ができるようになること   重心の側方への移動ができるようになると体重が乗っていない側の上肢・下肢を自由に動かすことができるようになります。これを交互に連続すると這い這いになります。うつ伏せで重心を高くすることができると膝や足で体重を支えることができます。そのためには上半身を高く上げることが必要です。体幹の筋肉が腰やお腹の部分までしっかりと働くことと、上肢の支えが肘の支えから掌の支えになることでそれが可能になります。 這い這い移動の準備活動 ①ピボットターンが左右ともにできる ピボットターンとはうつ伏せで玩具などを追いかけて足の方向に回っていく運動です。一側への体重負荷と反対側の上下肢の運動を促します。 ②手で支えて上半身をあげられる 赤いロールは座布団を丸めたりやお母さんの脚を使ってもできます。肘を伸ばすと掌が床につく高さがやりやすいです。簡単にできるようならばこどもの身体を少し頭の方にずらすと体幹の下の空間が大きくなり負荷も大きくなります。

うつ伏せで遊ばせる②

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うつ伏せで遊ばせる際にこどものもっている力を十分引き出そうとする時に私の考えていることは何でしょうか。その子の何を助けるとうつ伏せで遊びやすくなるのかということです。 私は二つの点から手助けができないかを考えます。 ①課題 こどもがその活動に興味をもつための課題です。その子の興味をひくための遊びの種類や玩具を考えます。左の写真の玩具よりは右の写真の玩具の方がうつ伏せでの活動が引き出しやすいと思います。 ②重心の移動 うつ伏せで玩具にさわろうとすると重心位置は矢印のように移動します。 うつ伏せを横からみた図 矢印が重心の移動 重心は下半身の方へ移動します 赤はバスタオルを丸めてつくったロールです *これをいれるだけでも重心は下半身の方へ移動します うつ伏せを上からみた図 左手で玩具を触る時には重心は下半身の少し左側の方へ移動します   重心を少し斜め下方に移動させる方法は、下の図のように大人の手のひらをこどもの背中に乗せて軽く圧迫しながら、背中を下半身のへ1~2㎝ぐらい引っ張る誘導法があります。下図の方法では重心がこどもの下方かつ少し左側によるので右手を使って玩具へ手をのばしやすくなります。